Postfix 2.10 の smtpd_relay_restrictions 新設の背景 - Postfix Advent Calendar 2014 - ダメ出し Blog

2014-12-05(Fri) [postfix] [更新履歴]

Postfix Advent Calendar 2014 の 5日目の記事です。

本日は予定を変更して、Postfix 2.10 で新設された smtpd_relay_restrictions パラメーターの意図を紹介したいと思います。

以下、Postfix 付属のドキュメントファイル SMTPD_ACCESS_README からの抜粋と意訳です。

Dangerous use of smtpd_recipient_restrictions
smtpd_recipient_restrictions の危険な用例

By now the reader may wonder why we need smtpd client, helo or sender restrictions, when their evaluation is postponed until the RCPT TO or ETRN command. Some people recommend placing ALL the access restrictions in the smtpd_recipient_restrictions list. Unfortunately, this can result in too permissive access. How is this possible?
ここまでの解説を読んで、何故 smtpd にはクライアント、HELO、送信者の制限パラメーター※も必要なのか、 また、それら制限の評価が RCPT または ETRN コマンドを受け取るまで先延しにするのか、 不思議に思うかもしれません。世の中には、すべてのアクセス制限を smtpd_recipient_restrictions に列挙することを推奨する人もいます。 残念なことに、そうしてしまうと、意図しないアクセス許可を与えてしまう可能性があります。

※訳注: smtpd_recipient_restrictions 以外の smtpd_client_restrictionssmtpd_helo_restrictionssmtpd_sender_restrictions のことを 指しているものと思われます。

The purpose of the smtpd_recipient_restrictions feature is to control how Postfix replies to the RCPT TO command. If the restriction list evaluates to REJECT or DEFER, the recipient address is rejected; no surprises here. If the result is PERMIT, then the recipient address is accepted. And this is where surprises can happen.
smtpd_recipient_restrictions の本来の目的は、 Postfix が RCPT TO コマンドにどう応えるかを制御することです。 そこに列挙された制限のリストにより REJECT または DEFER と判断されると、 RCPT TO の宛先アドレスは拒否されます。この動作に何も違和感はありません。 PERMIT と判断されたときは宛先アドレスは受理されますが、 ここで予想外のことが起こることがあります。

The problem is that Postfix versions before 2.10 did not have smtpd_relay_restrictions. They combined the mail relay and spam blocking policies, under smtpd_recipient_restrictions. The result is that a permissive spam blocking policy could unexpectedly result in a permissive mail relay policy.
問題は、Postfix 2.10 より以前のバージョンには smtpd_relay_restrictions がないことにあります。古い Postfix では、メールのリレーと spam 遮断の ポリシーを混合して smtpd_recipient_restrictions に列挙していました。 このため、寛容的な spam 遮断ポリシーが適用されてしまい、その結果、 過剰なメールリレーポリシーとなってしまう可能性があります。

Here is an example that shows when a PERMIT result can result in too much access permission:
以下に例を示します。この構成では、PERMIT が過剰なアクセス許可を与えるかもしれません:

1 /etc/postfix/main.cf:
2     smtpd_recipient_restrictions =
3         permit_mynetworks
4         check_helo_access hash:/etc/postfix/helo_access
5         reject_unknown_helo_hostname
6         reject_unauth_destination
7
8 /etc/postfix/helo_access:
9     localhost.localdomain PERMIT

Line 5 rejects mail from hosts that don’t specify a proper hostname in the HELO command (with Postfix < 2.3, specify reject_unknown_hostname). Lines 4 and 9 make an exception to allow mail from some machine that announces itself with HELO localhost.localdomain.
5行目の記述により、 HELO コマンドに正式なホスト名を示さないホストからのメールは拒否されます。 4行目と 9行目により、例外として HELO localhost.localdomain と告げるホストは許可されます。

The problem with this configuration is that smtpd_recipient_restrictions evaluates to PERMIT for EVERY host that announces itself as localhost.localdomain, making Postfix an open relay for all such hosts.
この設定の問題点は、smtpd_recipient_restrictions が、 自身を localhost.localdomain だと告げるあらゆるホストに対して PERMIT の評価を与えてしまう点にあります。

With Postfix before version 2.10 you should place non-recipient restrictions AFTER the reject_unauth_destination restriction, not before. In the above example, the HELO based restrictions should be placed AFTER reject_unauth_destination, or better, the HELO based restrictions should be placed under smtpd_helo_restrictions where they can do no harm.
Postfix 2.9 以前では、reject_unauth_destination 制限よりも後に宛先制限以外の制限を記述すべきです。 上記の例では、HELO に基く制限は reject_unauth_destination より後に記述すべきです。もしくは、HELO の制限を smtpd_helo_restrictions に記述するようにすれば、 このような問題を避けることができます。

1 /etc/postfix/main.cf:
2     smtpd_recipient_restrictions =
3         permit_mynetworks
4         reject_unauth_destination
5         check_helo_access hash:/etc/postfix/helo_access
6         reject_unknown_helo_hostname
7
8 /etc/postfix/helo_access:
9     localhost.localdomain PERMIT

The above mistake will not happen with Postfix 2.10 and later, when the relay policy is specified under smtpd_relay_restrictions, and the spam blocking policy under smtpd_recipient_restrictions. Then, a permissive spam blocking policy will not result in a permissive mail relay policy.
上記のような失敗は、Postfix 2.10 以降を用い、リレーポリシーを smtpd_relay_restrictions に指定し、spam 遮断ポリシーを smtpd_recipient_restrictions に指定することにより起こらなくなるでしょう。 結果、寛容な spam 遮断ポリシーによって、過剰なメールリレーポリシーと なってしまうことがなくなります。


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